急増するツラい病苦「歯周病」
2020年07月10日
統計データ分析家の本川裕氏が現代人はどんな病苦に悩まされているのかを分析したところ「三大死因はがん、心疾患、脳血管疾患だが、それだけではありません。最近、患者増加率が特に高いのは慢性腎臓病、歯周病、骨折、うつ病です」という記事がありました。
患者調査は3年ごとで、2014年から最新の2017年にかけての患者数の増減率を見ると、直接的な死因となることが少ない病気ですが、「歯周病」は、患者数とその増加率が2位と、最近、特に目立つようになった病気に上がっていました。
「歯周病」は、それ自体、痛みや歯抜けの原因であるとともに、歯垢とともにそこに巣食う歯周病菌が血管に入り込み、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の要因となることが分かってきています。
東京四谷の歯科医院長である山口和夫氏によれば「実は、歯周病の人が脳梗塞になるリスクは、歯周病でない人に比べて2.8倍も高いという統計もあります。こうした状況にあることから、脳外科、心臓外科の医師から、手術の前などに徹底した歯垢の除去を依頼されるようになりました」という。(『日経ビジネス』2018年9月10日号)。
患者数が大きく増えている病気には、生活習慣の変化や高齢者の増加によってその病気自体が増えているという側面のほかに、その病気に対する認識の深まりなどからこれまで以上に病院で看てもらうようになったから増えているという側面もあり、定期的な検診とクリーニングでお口の環境を良好に保つことをが全身の健康維持になることを知っていただきたいと思います。
「病苦」のランキングに歯周病が入らなくなるように、スタッフ一同、努めてまいります。
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歯科の受診は本当に新型コロナ感染リスク高い?
2020年07月3日
堀野 哲也 先生(東京慈恵会医科大学附属病院感染症科 診療医長、日本感染症学会感染症専門医)の監修した記事がわかりやすかったので、少し抜粋しました。
歯科の受診を迷われている方、参考になさって安心してご来院ください。
歯科医師はもともと常にマスクや手袋を着用して、すでに感染対策を実施しており、さらに今回の新型コロナウイルス感染症に対してゴーグルやフェイスガードも着用しています。
また、歯科医師自身が健康管理を徹底し、診療していることを考慮すれば、飛沫感染や接触感染によって治療中に歯科医師から患者に感染するリスクは高いわけではないと考えられます。
新型コロナウイルス感染症の感染経路で気になるのはエアロゾルを介した感染です。エアロゾルが発生する処置が必要なすべての方の歯科診療でエアロゾル対策が必要となります。そのため、多くの施設ではエアロゾルに対する感染対策として、吸引力の強いバキュームや口腔外バキューム、ラバーダムなどの使用、換気を頻回に行うなどさまざまな対策が取られています。
施設全体で感染対策を実施していることが重要です。
待合室の密閉を避けるために換気を行い、予約制などにより密集・密接を避けていること、汚染された環境からの感染を防ぐために定期的に清掃・消毒し、遊具や雑誌が撤去されていること、スタッフ自身が健康管理を徹底していること、スタッフの感染を防ぐためにすべてのスタッフが手指消毒、マスクの着用を遵守し、必要に応じてフェイスシールドを着用することなどが実施されていれば、より安心して歯科治療を受けることができると思います。また、受診する際に患者の体温、健康状況を確認し、スタッフを感染から守る施設は、患者も感染から守っていると思います。
一方で、過剰に感染を恐れ歯科診療がおろそかになると、どのようなリスクがあるかというと、高齢者では虫歯や不衛生な口腔環境は肺炎のリスク増大に関与することが報告されています。日本歯科医学会連合や日本歯科医師会などが提示した感染対策や、現在、歯科医療機関で実施されている新型コロナウイルス感染症に対するさまざまな感染対策を考慮すると、むやみに受診を控えずに必要な歯科診療を受ける方がメリットは大きいと思います。
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