歯の詰め物や被せ物で使用する金属の劣化
2018年11月24日
皆さまこんにちは。カウンセリングを担当しております歯科技工士の森川です。
今日は歯の詰め物や被せ物で使用する金属の劣化についてお話ししたいと思います。
虫歯治療で、失った歯の部分の回復に保険治療では歯科用合金の金属を使います。いわゆる銀歯です。
治療後数年経って、食事中に銀歯が取れて歯医者に駆け込んだなんて方もいらっしゃると思います。
そして取れた銀歯の下の歯の色を見てびっくり!
真っ黒だった!
なんて事も思い当たるのではないでしょうか。
銀歯の下で虫歯が進行していても見えないので、痛みなどの自覚症状がない限り、気付かない事が多いのです。
場合によっては、神経がダメになり、抜歯になってしまう事もあります。
なぜそんなことが起こるのでしょうか。
お口の中には常にだ液が存在します。
普段、だ液は中性ですが、食べ物が入ると、酸性に変化し、食べ物を溶かして消化しやすくして胃に送ります。
酸性に変化した だ液は歯や銀歯、銀歯を付ける時に使ったセメントなどを溶かしてしまいます。
口の中から食べ物が無くなると おおよそ40分後、だ液は中性に戻ります。
神経のある歯はだ液が中性に戻ると、一度溶け出した栄養分を再度吸収します。再石灰化と呼ばれ、歯質強化につながる働きです。
しかし、銀歯は数年かけてじわじわ溶かされて錆びるように劣化していきます。セメントも同様にじわじわ溶けてしまうので、銀歯と歯の間に隙間ができてしまうのです。
セメントが失われても銀歯が外れないのは、食事の際に歯を噛み合わせてカチカチすることが、金属を歯にはめ込んでしまうことになり、外れにくくなってしまうのです。
結果、銀歯の下で虫歯が進行し、繰り返しの治療につながるのです。歯と神経を失っていくきっかけになってしまいます。
保険の治療は費用の負担が少ないメリットはありますが、合わせてデメリットにつながる可能性もある治療法という事もご理解いただきたいと思います。
隙間ができにくく、繰り返しの治療に繋がりにくいセラミックを使用する方法もありますが、保険外の自費診療で行う治療です。費用はこちらをご覧ください。
今回は金属の劣化についてお話ししましたが、保険の金属で治療しても、セラミックでも、お口の中を清潔に保つことが繰り返しの治療になりにくくする環境を作ります。
適切なホームケアと、悪化する前の検診で健やかなお口の環境を保っていただきたいと思います。